あらすじ
突如失踪した人気小説家・遥川悠真。その背景には、彼が今まで誰にも明かさなかった少女の存在があった。
遥川悠真の小説を愛する少女・幕居梓は、偶然彼に命を救われたことから奇妙な共生関係を結ぶことになる。しかし、遥川が小説を書けなくなったことで事態は一変する。梓は遥川を救う為に彼のゴーストライターになることを決意するが――。才能を失った天才小説家と彼を救いたかった少女、そして迎える衝撃のラスト! なぜ梓は最愛の小説家を殺さなければならなかったのか?(私が大好きな小説家を殺すまで‐メディアワークス文庫https://www.kadokawa.co.jp/product/321806000245/より引用)
今回はワシの睡眠欲を凌駕した快作小説『私が大好きな小説家を殺すまで』をネタバレありで紹介していくのじゃ!
- 蜘蛛の糸を死に物狂いで手繰り続ける読み心地
- 関係性オタクに勧めたい!
- 最後に
蜘蛛の糸を死に物狂いで手繰り続ける読み心地
この作品の読み心地を表すとするならこう、じゃな
暗澹とした状況の中で細く美しい希望や祈りが煌めいておるから、両手をずたずたにしながらそれにすがり続けてしまう罪な作品なのじゃ
幕居梓が無力なままであれば砂糖菓子のような時間を過ごせたかもしれない。遥川悠真に救われさえしなければ存在そのものを無かったことにできたかもしれない
じゃが、この作品はそうではなかったのじゃ
皆の衆も是非手に取ってイマジナリー両手を傷だらけにしてみてほしいのじゃ
関係性オタクに勧めたい!
この作品はおに×ロリであり、推し×オタクであり、天才×怪物であり、誘拐犯×被害者でもある属性てんこ盛り関係性作品なのじゃ……!
悠真に絶望的な家庭環境から救われてすくすくと成長していく梓が、時に彼の才能を信じて寄り添い、時に憧れと敬愛を小説にして励まし、時に憔悴していく悠真を激励するそのすべてが互いの首を絞め合い殺すバドエンオタクホイホイ作品なのじゃ!
幸福なひとときすら猛毒と化す執拗ともいえるストーリー構成は必見なのじゃ!
最後に
憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのをみて、「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と願うのが執着だと思っていた。だから私は、遥川悠真に死んで欲しかった。
(本文引用)
この作品の切実な空気感を表すのにこれほど最適なフレーズはない、そう思うのじゃ
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