作品紹介
この作品は、舞楽家である原笙子さんの自叙伝です。
第二次世界大戦終戦の日本敗北を期に家計を案じて12歳で女学校を退学し、親の代わりに物の立ち売りをした幼少期から、舞楽を子供たちに教えるようになるまでの半生が綴られています。
1984年にドラマ化されていますが、内容は改編されているようです。
今回は『不良少女とよばれて』の感想をしみじみと語っていくのじゃ
この記事にはネタバレを含むが、実際は描写のひとつひとつが特に素敵な作品なので気になった人は是非読んでみてほしいのじゃ!
- 家族を支えた少年期
- 不良少女とよばれた青年期
- 人生について考え続けた壮年期
- 最後に
家族を支えた少年期
ワシはこの本の初めを読んで震えたのじゃ
こんなに壮絶なことが世の中にあるのじゃな、と
著者は家計の不安から学校を辞め、両親の代わりに大人相手に商売をして、スープのような粥をすする生活を送っていたのじゃ
親が家計を支えてくれない焦りに耐えきれない空腹感、少しでも油断すれば誰かから迫害される社会
著者は最後の方で「(学校に通わなかったことを)後悔している」と記していたが、これ以上ないほどにたくましく生きているように感じたのじゃ
不良少女とよばれた青年期
家計を支えるために職を変えながらもあくせくと働く著者はある日母から聞いた
「笙子ちゃんは生みたくなかった」
という発言によって家族のために働くことが苦しくなってしまうのじゃ
そして家出を繰り返した後に自ら施設に入ることで「不良少女」と呼ばれるようになったのじゃ
著者は母親の心境に対しても理解を示しているような文章を書いてはいるのじゃが……
ワシが一番許せないタイプなのじゃ、これ
時代柄中絶も出来なかった、望まぬまま母になるしかなかったなど同情せねばなるまいという部分もあるのじゃが、家計のために働く娘にそれを言うのだけは身の程知らずにもほどがあるじゃろう?
結果著者は家出を繰り返して二度も自殺未遂をしておるのじゃぞ?
親の何気ない一言がどれだけ子供の人生を狂わすのかよくよく分かったのじゃ
しかし、著者は二度の自殺未遂の果てに幼少期から続けてきた舞楽を極めたいという想いに目覚め、算段を立てて家出し、東京にいる師匠の下に弟子入りをしたそうなのじゃ
何かに身を捧げるためには一度底まで身を沈めねばならぬのじゃな
人生について考え続けた壮年期
それから著者は夫との出会いに恵まれ結婚し、娘を出産したのじゃが、舞楽を教えるのに夢中になるあまり家庭をおろそかにして、両親と同じ轍を踏んでしまうのじゃ
そこで著者が出会った本がルソーの『エミール』じゃったそうな
『エミール』との出会いでこれまでの家族や覚えの遅い弟子に対する接し方を改め、人生とは矛盾を抱えながら生きるものだという境地に達したのじゃ
ワシも読んでみたいのう、エミール
最後に
ここまで読んでくれてありがとうなのじゃ!
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