あらすじ
セルマは母であった。周囲に支えられながら工場で働いて金を稼ぎ、趣味のミュージカルの練習に勤しみ、一人息子のジーンを愛し育てる母であった。
しかし、セルマには秘密があった。セルマは目の遺伝病を抱えており、若いうちに手術をしなければいずれ失明してしまうという重篤な病である。
精神的な不安が症状を悪化させるため同じ病を抱える息子のジーンから頑なに真実を隠すセルマ。
しかし、セルマの目は日に日に悪くなっていき、趣味のミュージカルも工場勤務も出来なくなってしまう。一切希望が絶たれたセルマに追い打ちをかけるように更なる悲劇が襲い掛かる。
悲劇と絶望の連鎖を心の中のミュージカルを支えに立ち向かう、セルマの行く末は如何に!
今回は間違ってもおめでたい日になんか見ちゃいけないミュージカル映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を紹介するのじゃ!
- 臨場感が観客を殺す
- この映画に神はいない
- 最後に
臨場感が観客を殺す
この作品はカメラの使い方が特徴的だと思ったのじゃ
物語とミュージカルでカメラを明確に使い分けておって、物語パートではハンドカメラで、ミュージカルパートでは固定カメラで撮影されておるのじゃ
物語パートを(恐らく)すべてハンドカメラで撮っておる影響で、臨場感が増してしんどいことシーンがもっとしんどく感じられるのじゃ!お得じゃな!
しかもミュージカルパートで映像やストーリー進行に下手に緩急が付いてしまうから地獄がするすると頭に入ってきてしまうのじゃ!(本編を観ればわかるのじゃが、ミュージカルも全然ハッピーじゃないのじゃ)
これを機にぜひ皆の衆もワシの道連れになってほしいのじゃ!
この映画に神はいない
この映画に救いはないのじゃ
仮に救いに見えたのならそれは更なる絶望まで道を舗装するためのアスファルトに過ぎないのじゃ
しかし、そんな八方塞がりだからこそ、セルマの愛と苦悩が仄かに光るのじゃ
確かにこの映画に救いはないし神はいない。だからこそ時にミュージカルに縋りながら現実を生き抜く主人公セルマに胸打たれて、最後まで見届けたくなってしまう。そんな不思議な魅力のある映画なのじゃ
最後に
もしこの映画を見たのであれば、感想代わりに一つどうしても聞いてみたいことがあるのじゃ
「この映画のエンドクレジットを見るかどうか」!これだけは絶対に聞きたいのじゃ
映画のエンドクレジットを見るか否か問題は各所で議論されている話ではあると思うのじゃ。やれ「最後まで観るのが敬意だ」であるとか「本編の内容に影響がないから見ない」だとか「エンドクレジットを見ながら余韻に浸るのが好き」だとかじゃな
しかしこと『ダンサー・イン・ザ・ダーク』においては事情が変わってくるのじゃ!エンドクレジットを見るか否かによってラストシーンの解釈が変わってしまう、それほど大切なシーンのひとつになっているのじゃ
もしよければ、「見る派」「見ない派」だけでもコメントしていってくれると嬉しいのじゃ!